ジュゴンの家・日誌
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沖縄タイムス http//www.okinawatimes.co.jp/
琉球新報  http//www.ryukyushimpo.co.jp/

同基金への協力は 
●琉球銀行 普通口座 名護支店
 口 座 番 号   23−130
 口 座 名  西 陽子 まで
●郵便局 17040−14225611
西 陽子
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4月D

  緊急カンパのお願い!!
現在、辺野古ではボーリング調査を阻止するための泊り込みの監視が行なわれています。この行動に必要となるお金(食事代等)のカンパをお願いしたいと思います。皆さん応援をよろしくお願いします!!
カンパを振り込まれる際は、必ず「ボーリング阻止緊急カンパ」と明記し、下記の口座にお願いします。(このカンパのお願いは「ジュゴンの家」が、「命を守る会」を応援する気持ちで独自でやっています。振り込まれたお金は、辺野古でのボーリング調査阻止行動のために使われます。)
●郵便局 17040−14225611
西 陽子

名護新基地建設絶対反対!   ボーリング調査絶対阻止!
 
座り込み支援カンパ!!
         
よろしくおねがいします!




4月30日(金)

ボーリング調査阻止・座り込み12日目
午後、防衛施設局が来ましたが、こちらの説得により帰っていきました!!12日目も阻止したぞ!!!
朝の集会。本土から応援に来ていた男性が帰ります。みんなにあいさつ。 金城祐治さん「孫が生まれました。名前は『拓海』です。」(ハツコさんはこの間、出産のお手伝いをするため本土に帰っていました)みんなから拍手!! 「命を守る会」で今日の行動の打ち合わせ
名護市議・宮城康博さんが来ました!! 琢磨さんと話し合い 康博さんが持ってきてくれた、ボーリング調査に関する資料
「今日は船で出る可能性がある」とのこと。漁船がすでに海に出ている。至急カヌー隊が準備をする こちらの船、「さくら丸」も準備される。
←浜で待機するカヌー隊
オオシッタイのセツ子さんと一緒に、座り込みのみんなのお昼御飯を作ってくれているともちゃん。 漁船は漁をするためのものだったようだ。カヌー隊は一旦戻る。 報告
←漁港の道路脇の雑草を取る作業が始まる。ヒサ坊がやり始めると皆が手伝い、掃除が終わるとすっきりきれいになった。
いつも元気なヒサ坊さん。踊りで皆を笑わせてくれる。(悦美さんも踊る)
漁港の中を行き来しながら、掃除、ゴミ拾いなどを何気なくやっています。
平和運動センター
「私たちもできる限りの事をやります。午前中・午後と、人が途切れないようにローテーションを組みます」
労組関係の応援の人達
「聖学院」の高校生達。
「一番いけないのは、修学旅行などで沖縄に来て、それっきり、という事だと思います。自分にも何ができるかわからないけど、皆さんと一緒に座り込んで考えたい。」と発言。「どれくらい居られるの?」と質問され「何時間でも!!」と答えていました。
上空を飛ぶヘリ
マスコミ関係 安次富さんと夏芽さんから報告
今までの経緯を説明。
夏芽さん「この間ずっと緊張の中動いてきました。相手はずっと監視して、こちらの人数や動きなどを見ています。人数が少なくなった時を狙って来るのです。今、施設局が来ないのは、皆さんがこうして座っているからです。」
共産党・赤嶺議員
アルファさんからもらった写真
午後2時頃、防衛施設局来る 医療班による健康チェック
東京からヨッシー到着 「命の海」を歌う きのう。国会議員の中村敦夫氏が来る
東京から応援に駆けつけたヨッシーの日誌
4月30日(金)
遅ればせながら辺野古に到着。
ちょうど2時30分に防衛施設局の5人をおっぱらった後だったので、みなさん意気揚々としていました。さっそく「命の海」を歌って、東京で集めたカンパと署名をお渡ししました。
それから金城繁師匠の独演会が始まり、僕は太鼓をたたきました。
明日は元気にがんばります!!
晋くん日誌
4月30日(金)
午前6時集合にもかかわらず、約100名の人が辺野古へ集まりました。
午前8時頃、「漁港より、調査にでる可能性あり」との情報があり現場が緊迫する。
カヌーを出し、「さくら丸」出す。海上で集合して阻止線をはる。漁船が出て行くことでまた緊張が走る。陸と海上どちらもで阻止線をはります。
「漁に出ている」ことがわかり阻止線を解除。
良い予行演習になりました。

午後2時30分、防衛施設局5人が漁港入り口に来る。「来たー!!」と連絡が入る。事務所にいた人達がいっきに飛び出していく。85歳の小禄さんは「わんはここで待っていようねー」と声をかける。
私もおばぁ達と一緒に事務所にいました。ここを守ることが私の仕事だと思うからです。あえて阻止線に参加しませんでした。
約100名の阻止線。漁港は一気に騒然とします。防衛施設局なんかがこなければ私達は仕事をし、人と会話し、生活をしていたはずです。そんな日常を破壊しにくる彼らへの怒りは、その迫力は辺野古を覆っていくようです。
私達は防衛施設局に「住民説明会を開け」と訴える。
「基地建設における方法書の広告縦覧はなぜ10ページずつなんだ。たった40日間で400ページもある方法書を読み、それに対し意見をするなど現実的ではないじゃないか。あなた達は住民の生命にかかわる問題を説明する気もないのか!!」
「コピーの許可を!!」「インターネットで開示しなさい!!」と声が上がる。
中身さえずさんな400ページの開示であり、それを覆い隠そうとする防衛施設局はとてもとても卑劣です。
施設局は午後3時10分ごろ引き上げていきました。
施設局は「住民説明会」を開け!!

今日の昼ご飯は団結てんぷらとらっきょ、たくあんにご飯。プチトマトも入っていました。
「てんぷら屋よりおいしい!」と大好評でした。炊事場のおばちゃん達に頭が下がります。火の車になった炊事場をおばぁ達は服をまくり上げて手伝っています。やはり若い人の手を借りたい。

施設局が帰った後すぐにおばぁ達と参加者の健康診断のためお医者さんが駆けつけてくれました。
見てもらった結果、おばぁ達の健康には今のところ「異常なし」とのこと。しかし、今日こられなかったおばぁは風邪をひいています。心配です。

辺野古の裏山にできた「国立高専」はすでに開校しています。その生徒が毎日のように浜辺で遊んでいるのですが、今日は飛び込む時に「頭を切ったー」という子が事務所にやってきました。血がでていたので応急処置、先生を呼んでもらいました。「あんた入学早々にーー」と先生。「ぶすーー」とその生徒がしていたので「それも人生じゃ!」と声をかけると笑っていました。元気になれよぉー。

県外の高校生が座り込みに参加するという光景も見られ、三線を歌う時間もありました。防衛施設局が去った後は本当に人間的に素敵な光景になります。「命ぐすい」とはこのことなのでしょうか。

私達の闘いに共感してくれている方々にお願いいたします。
ジュゴンの家ホームページ
http://www47.tok2.com/home/dugong/index.html
シンさんの辺野古日記
http://diary5.cgiboy.com/2/henokonikki/
の二つに毎日、ここの報告をのっけています。その二つを広めていただけたらと思います。
よろしくおねがいします。
新聞より

<普天間代替>施設局“前進”アピール

普天間飛行場代替施設建設に向けた環境影響評価の方法書のコピーを求め、名護市職員に詰め寄る市民団体のメンバー=28日、名護市役所

 普天間飛行場代替施設建設のための環境影響評価作業の最初の手続きとなる方法書の公告縦覧が始まった。当初は昨年夏ごろに予定していたが、事業主体問題や陸上ヤード(作業場)の記述をどこまで盛り込むかなどで大幅に遅れた。しかし方法書には米軍使用機種を明記せず、飛行場内の米軍施設の配置や運用所要も示していない。ヤードの設置場所も未確定のまま候補地として記述するなど拙速の感も強い。背景には移設作業が遅れているとの米側のいら立ちを受け、目に見える形での前進を示そうとした日本側の焦りが見えてくる。

 方法書が大幅に遅れた最大の要因は軍民共用空港の民間部分の事業主体問題だ。昨春以降、どこが事業主体となるか、防衛施設庁と内閣府、県が互いに押し付けあった形だが、結局、防衛施設庁が引き受ける形で昨年末にようやく落ち着いた。

 次に浮上したのは、陸上ヤードの設置場所を方法書にどう表記するかという問題だ。昨年末、施設庁は大浦湾の可能性を打ち出したが、新たな埋め立て案に地元の反発は強かった。その後に浮上した中城湾港、辺野古地先も同様で、容易に同意が得られないとみた施設庁は「方法書作成前に(場所を特定する)決め打ちはできない」(施設庁関係者)と判断、「候補地」との位置付けで三地点を並列表記する手法を取った。いわば問題を先送りした格好だ。

 難題が次々に浮上した経過は、移設作業が容易でないことを如実に示した。

 一方で、防衛施設庁には焦りもあった。在外米軍再編のからみで普天間飛行場の嘉手納統合案や下地島移転案などが次々に報道されたからだ。報道の背景に、移設作業が長引くことへのラムズフェルド米国防長官のいら立ちがあるとみて、「国防長官に“作業が進んでいる”と見せるためにも、早くアセスの段階に移る必要がある」(別の施設庁関係者)と作業を急いでいた。

 もう一つ、施設庁が意識していたのは政治日程だ。6月には県議選、7月には参院選があり、その直前に基地問題が焦点になると選挙に影響が出かねない。ことはアセス方法書にとどまらず、ボーリング調査、都市型戦闘訓練施設の新設にもかかわる。施設庁関係者は「その点を意識していたから、県には『(ボーリング調査の)同意書を早く出してくれ』と頼んでいたのに…」と述べ、県の作業の遅れに不満をこぼす。

 一方、県幹部は「施設局は4月末の公告縦覧にこだわっていた。黄金週間があるので、その後の5月初旬でもいいと思うのに、とにかく少しでも早く出したいようだった。そんなに急ぐ必要があるのだろうか」と述べ、国側の焦りに戸惑う。

 方法書の作成で、建設へ向けた作業は次の段階に移った。とはいえ、反対派住民の監視でボーリング調査が着手できないなど、難題は依然、続出している。今後も曲折は避けられない状況だ。(東京報道部・普久原均)

<2004年4月30日 朝刊 27面>

「自然の心臓刺す行為」/普天間移設
専門家講演会、サンゴ影響指摘

 沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団は二十九日、米軍普天間飛行場の移設計画に伴う名護市辺野古沖のボーリング調査が迫るなか、緊急講演会「さんご礁学者から見た辺野古の海とボーリング調査」を那覇市の八汐荘で開いた。約百人が参加し、「ボーリング調査でサンゴへの悪影響は必至」というサンゴ研究者の厳しい指摘に、熱心に耳を傾けていた。

 「日本サンゴ礁学会」会長の山里清・琉大名誉教授と水中カメラマンの棚原盛秀さんが講演。山里名誉教授は「移設によってサンゴはコンクリートで固められる。人にとっては心臓を突き刺されるようなもので、影響を調べる必要すらない」と批判。「(サンゴが成長する)礁原を埋め立てる移設計画は言語道断。回復が不可能になる」と危機感を募らせた。

 山里名誉教授は、琉球諸島でさんご礁をつくるサンゴは六十六属と、オーストラリアのグレートバリアリーフなどに匹敵する多様性があると紹介したが、「沖縄のさんご礁は白化現象などで息も絶え絶え」と、現状への懸念も示した。

 サンゴの写真を紹介した棚原さんは「サンゴの海は生活、漁業、観光など沖縄の個性の維持にどうしても必要だ」と訴えた。

 同監視団の東恩納琢磨団長は「沖縄の海は県民共有。やんばるで起こっていることを、那覇の人にも見てほしい」と話している。

     ◇     ◇     ◇     

中村敦夫議員、辺野古で聴取

 みどりの会議代表委員の中村敦夫参議院議員は二十九日、名護市の辺野古漁港を訪れ、米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴うボーリング調査に反対し、座り込みを続ける自然保護団体や住民から事情を聴いた。

 中村議員は「(軍事基地建設が)なぜ沖縄でなければいけないのか理由はない」と指摘。「ふるさとを守ろうとする皆さんをただ放置しておく政治はおかしい。国会で真剣に取り組んでいかなければならない」と話した。

<米軍再編>米国防長官表明「県民配慮も」

 【ワシントン29日=本紙駐在・森暢平】ラムズフェルド米国防長官は29日午後(日本時間30日未明)、訪米中の自民党・安倍晋三、公明党・冬柴鉄三両幹事長とワシントン郊外の国防総省で会談し、在沖米軍の駐留見直しについて「互いの利益を考え、県民の感情にも配慮しながら話し合っていきたい」と日米両政府で協議する方針を表明した。

 ラムズフェルド長官は米軍の世界的再編の方針を説明するとともに、在日米軍全体について「日米同盟関係が機能するよう、お互いが納得できるような形で兵力について相談しなければならない」と長期的な視野に立った協議の必要性を強調。在沖米軍については特に「県民感情を重視する」と明言したうえで、「日米にとってどんな形がベストなのか話し合いたい」と述べた。

 長官はまた「米軍が地域から望まれていない場所に米兵を送りたくない。望まれ歓迎されている場所に送るという選択が考えられる」と説明。その上で、「日本とは素晴らしい関係を持続していきたい」と述べた。

 「米軍が望まれていない場所」が沖縄を含むのかについてラムズフェルド長官は明言しなかったが、米軍に対しての反発が根強い沖縄の事情を考慮する姿勢を示したものとみられる。

 一方、会談の後、ワシントン市内のシンクタンク「アメリカン・エンタープライズ研究所」で講演した安部幹事長は、質疑の中で沖縄の基地問題にも触れ、「SACO合意は維持していく」と米軍普天間基地の名護市辺野古沖への移設を進めていく日本政府としての立場を改めて強調した。

◇アセス方法書の評価避ける/稲嶺知事記者懇

 稲嶺恵一知事は30日午前の定例記者懇談会で、28日に公告縦覧が始まった名護市辺野古沖での米軍普天間飛行場代替施設建設に向けた環境影響評価(アセスメント)の方法書に、具体的な米軍機種などが明記されず、専門家などから不備が指摘されていることについて、「今後より詳細な検討が行われると考えている」と繰り返し、具体的な評価を避けた。

 15年使用期限問題については「高度な政治的な問題で、政府が判断する問題だ」と指摘し、着工の前提条件とする基本姿勢を重ねて強調。その上で「政府の高度の政治判断ができるような環境条件の整備に努力していきたい」と述べ、日米地位協定改定を含めた基地問題解決を国民的課題として引き続き全国に訴えていく考えを示した。

 反対派住民や市民団体による辺野古漁港内での座り込み行動で、那覇防衛施設局がボーリング地質調査に着手できない状況については「非常に厳しい状況に置かれている。返還に向けた取り組みが着実に進行することが大変重要だ」と指摘し、住民サイドに理解を求める一方、「平穏裏に(反対派住民らが)納得して(調査が)進むことが1番望ましい」との認識を示した。

<キャンプハンセン>新“象のオリ”ほぼ完成

施設の大半が完成した新しい米海軍通信施設=28日午前、金武町のキャンプ・ハンセン内(撮影 写真部・山城博明)

 読谷村の米海軍通信施設・楚辺通信所(通称・象のオリ)の移設先である金武町のキャンプ・ハンセン内で建設が進められている新しい通信施設が29日までに、大半の施設が完成した。那覇防衛施設局は今年夏までに工事を完了させる予定だ。工事中は入り口に臨時検問所が置かれ、業者の出入りを厳しく監視している。写真機の持ち込みや図面の持ち出しが禁止されるなど機密性の高い通信傍受施設だけに厳しい情報管理態勢も敷かれている。

 アンテナ地区に設置された受信アンテナは18本。現在運用されている楚辺通信所の鉄塔のような形状ではなく、棒状で目立たない。高さも現在の28メートルの半分以下で、最大でも12メートルだ。

 現在のようにアンテナ同士を横につなぐ檻(おり)のような囲いもなく、新しい施設は通称の「象のオリ」の名称にふさわしくない近代的な設備になっている。管理棟は現在のアンテナ地区内から分離されて整備され、3カ所に守衛所が設けられた。

 同施設は1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告に基づく楚辺通信所の返還条件として移設整備されている。総工費約200億円(契約)で2001年9月に造成工事、02年から通信施設の建設が進められてきた。


4月29日(木)

ボーリング調査阻止・座り込み11日目
日本山妙法寺・永沼さん。毎朝必ず、「命を守る会」の前で一礼 朝の集会 篠原さんは署名を集める
応援の人達 取材に来ている石川真生さんと、助手の女の子
うららちゃんがいた午前10時半まで、特に動きはありませんでした。
新聞より

<自然保護団体>ジュゴン保護求め来月訪米へ

 【名護】普天間代替施設の名護市辺野古沖建設による自然環境への影響を危ぐするジュゴン保護キャンペーンセンター、日本自然保護協会、世界自然保護基金(WWF)ジャパンの三者は5月中に代表が訪米、環境機関や自然保護団体、米国防総省に対し辺野古移設計画を断念するよう働き掛けることにしている。キャンペーンセンターは宮城康博代表が訪米する。

 環境機関は米国の政府機関である海洋ほ乳類委員会(MMC)を訪ねる予定。MMCは辺野古沿岸がジュゴンの生息域であることから米政府に環境影響評価の実施を勧告しており、宮城代表は「存亡の危機にあるジュゴンへの影響は避けられない」として移設計画断念を働き掛けるよう申し入れる考え。また国防総省に対して「米軍の再編計画の中で移設なしの普天間飛行場返還」を促す。

◇宮城康博氏(市民アセスなご事務局長)に聞く

 ―方法書の印象は。

 「事業内容があまりにも不明確であり、不十分極まりない。普天間代替である以上、弾薬庫や機体洗浄場など軍事施設が必要になるはずだ。明らかに環境影響要因となるそれらが明記されないままでは適切なアセスはできない」

 ―具体的な問題点は。

 「飛行機を洗浄した後に薬品を含む大量の水が出ることが想定されるが、方法書からはそれが全く見えない。民間部分の需要予測も、県の資料を張り付けただけで、本気で取り組んでいるとは思えない。リーフと地域との社会的・経済的な長い歴史についても、字誌などの文献を確認した跡さえない。事業によってリーフがなくなるのは明らかだが、代償措置についての考えが見えない。失うものの代償はぜひとも記載すべきだ」

 ―ジュゴンについては。

 「1年間だけの調査では、基礎的データとして不十分。沖縄のジュゴンは絶滅が危ぐされており、周辺藻場のジュゴンによる利用状況も含めて、複数年の調査がぜひとも必要だ」

 ―ボーリング調査の影響については。

 「ボーリングや弾性波調査で、ジュゴンが周辺の餌場を放棄する可能性がある。アセス実施は『追っ払った後』になりかねず、アセス前のボーリングは中止すべきだ」

<名護市長>病気療養で休職 来月下旬に復帰の見込み

 【名護】岸本建男名護市長は28日から病気治療を理由に休職した。地方自治法に基づき末松文信助役が同日から職務代理者として公務を代行する。市長の病名などは明らかにされていない。

 岸本市長の休職期間は「1カ月程度」となっており、5月28日前後には職務に復帰する見込みだ。市幹部によると、東京都内で入院し、手術を受ける予定という。



4月28日(水)

ボーリング調査阻止・座り込み10日目!!
今日の辺野古の海は風がほとんどなく、“ベタ凪”。静かに打ち寄せる波。見惚れるほど綺麗です・・・・。 朝の集会 東恩納琢磨さん
「今日から環境アセスの方法書閲覧が始まります。こんな国の事業が、県内8ヶ所でしか閲覧できないのはおかしい」
本部から県議候補の方が応援に来る 座り込みに参加
名護市議・大城ヨシタミさん 平和運動センターの方 応援に来た宜野湾市職労の方
風邪で出ていた熱が下がった嘉陽のおじい。 カメラマン・浅井さんが、差し入れでいただいたジュゴンの形のパンを配る かっわいーい!!食べるのが惜しくなる
無線で見張りの人と連絡を取り合う晋くん 悦美さんのうしろは満ちゃん 「ジュゴンの家日誌」を読む植物博士の宮城さん
恩納村の、都市型訓練施設反対闘争の話を聞かせてくれる長嶺さん。
「監視小屋で監視をしていました。『機動隊が具志川から出発』という情報が入り、道路に機動隊、演習場に入る道に住民が並んで、睨み合いました。排除が開始され、住民は引きずられて隔離されました。が、また戻って並びました。1時頃、機動隊はあきらめて引き上げていきました。終わった後、お茶を飲もうとしたら、手が震えていました。
テレビでおばあたちが泣いている闘争の様子が毎日流され、見た人々が応援に駆けつけました。最後はおばあたちと『楽しかったね』と言う事ができました。
恩納村ではその後この話は出ませんでした。今はこの都市型訓練施設が金武町に作られようとしていて、金武町伊芸区では区をあげて反対運動を行なっています。
北中城村議・宮城盛光さん
アカバナー エメラルドグリーンの筋が見えるでしょうか。素晴らしい海。写真では伝えきれない
悦美さん・長嶺さん・セツ子さん 原田さん・浦島さん
午後2:28 防衛施設局来る
今日は作戦を練ってきたのか、自分からよくしゃべる土木課長。
ボーリング調査に関する資料を持ってきた。
平良夏芽さん 仲村善幸さん 具志堅トオルさん
「まあ、資料を持ってきて下さったのだから、座って。説明を聞きましょう。」 夏芽さん達、施設局、ともに座り込んで説明が始まる。
夏芽さんが資料に関していろいろと質問をする。「ボーリングで掘る穴の面積だけでなく、足場となるヤグラにも面積がとられると言う事ですよね?」「一番深い場所でボーリングする場合、 最大8ヶ所で同時に作業して、どれくらいの期間かかるんですか」・・・・ 施設局が持ってきた資料。去年、地元の行政委員のみに対して行なわれた説明会の時に配られたもの
「私が聞いたような質問に対しての答えはこの資料に書いてあるのですか?無いなら、だからこそ説明会が必要なんです。こうやって顔を見合わせて話せば、気持ちよくきちんと話ができる。人間らしい会話をしましょうよ。ぜひ調査に関しての説明会を行っていただきたいんです。」夏芽さんの気遣いで施設局員にお茶が出される
「説明会が住民に対し行われていない」、という訴えに、「地元の代表の行政委員や市に説明しましたから」と、何度言っても一点張りの職員。「間接民主主義です」と言った。行政委員以外の地元住民や、マスコミが排除される説明会のどこに民主主義があるか。 土木課長 具志堅トオルさん
東恩納琢磨さん
我慢しきれない怒りが言葉に溢れ出る。「400ページにもなるアセスの方法書を、公開されるその場で読めるわけないでしょう。名護でコピーができないとはどういう事なんですか。那覇の施設局まで行ったら往復4時間もかかるんですよ。インターネットで公開して下さいよ、あなた達が散々言ってきた事ですよ!!一貫した事を言いなさいよ。誰にも自由に公開せず、こんな人口が少ない過疎の地域に基地を押し付けて、それでいいなんて事じゃないんですよ。
ここはジュゴンが住んでいる海なんだ。こんな大きな問題なんだから世界に知ってもらわなきゃならない。アメリカにも伝える。やる側が英訳して文書を作りなさい。アメリカの市民にも知ってもらわなければならないんだ。
私達はずっとここで生きていかなきゃならない。逃げられないんだ。これは私達の未来に関わる問題なんだ!!!!せめてそれくらいやりなさいよ!!」
琢磨さんの怒りに、何も言葉を発する事ができない施設局。

話し合いの中、施設局側でコピーは制限していない事を確認した。

夏芽さん、琢磨さん、仲村善幸さん、具志堅トオルさん、山内徳信さんの説得により、
午後3時45分、施設局は退散していった。
座り込みの人たちに報告 今日はキャンプ・シュワブで廃弾処理が行なわれていた。時折、「ドォン」、という爆音がひびく・・・・。土煙がたつ。
「沖縄ジュゴン環境アセス監視団」事務局・川満さん 繁師匠と、瀬嵩に住むマリコさん 漁港のそばで、植物博士の宮城さんと
野草を摘む平良修さん。
晋くん日誌
4月28日(水)
70人もの人達が今日も集い、座り込みを開始。全員がマンネリ化せずに緊張感を持った面持ちで整然と座り込みをしていました。

午後2時30分に防衛施設局が辺野古漁港に来ました。
こちらの代表が対応。
今日から基地建設においての「方法書」が開示されることもあって話の中には「なぜ情報開示が限定されるんだ」「住民投票のことが抜けている」との声もありました。

防衛施設局は今回も一方的に「作業を再開させなさい。退去しなさい。」ということを要求してきました。
わざわざずさんな資料を提示して(これは1年も前の資料)こちらに対して説明を行いました。
「説明会を開いている。私達は一方的ではない。」とマスコミにアピールし、既成事実を積み上げているようにしか見えませんでした。

施設局職員が「私達は説明会をしっかり踏まえてここにきている」というので「じゃあなぜ話を聞きにきた住民を説明会から排除したのか。」というと黙っていました。
「間接民主主義だからこの国は・・」などとまるで官僚じみた言葉を言うので山内徳信さんが切々と「民主主義」について語り、「住民説明会を開くことは義務である」と訴えました。住民説明会は最低限やらなければならないこと、それさえもまったくなく、基地建設を進めようとしています。住民には判断する材料さえ与えないのか、基地建設がどんなものなのか住民にわかってしまい反対されるのが恐ろしいのだろう。そんなことは絶対に許さないという意思を伝えまし
た。

路上に座り、炎天下の中、1時間以上に渡って交渉を行いました。
結果今日も防衛施設局の行動を阻止するにいたっています。

今日の昼ごはんは「団結パパイヤ チャンプルー」とごはん、梅干にゆで卵。まるでお弁当屋さん並です。

午後、おばぁたちが来ていました。あるふぁさんが撮っていた今日の防衛施設局とのやりとりをビデオ上映しておばぁ達に見せました。
「今日は勝ったよー」と言うと、「本音では勝っていないさ。これからよ!!」と92歳のヨシおばぁが激を飛ばす。おばぁ達は本当にすごい。90歳にもなると人間を超越している感じです。
「無理せんでがんばろうねー」と言うと「何言っている、元気さ!!」とおばぁみんなに言われました。

でも気を使っているのだと思ったりしています。
泊り込んでから11日間が立ちましたが、明日も命がけで精一杯がんばろー!!
新聞より

<普天間代替>アセス記載内容に怒り相次ぐ

普天間飛行場代替施設の環境影響評価書の方法書を縦覧する市民団体のメンバーら=28日午前9時すぎ、名護市役所

 米軍普天間飛行場代替施設の環境影響評価方法書の縦覧が始まった28日午前、建設に反対する市民団体からは「環境に影響を与える施設の記載がない」など、米軍の施設や運用の記載が乏しいことに批判が噴き出し、専門家からも厳しい見方が出た。縦覧場所となった那覇防衛施設局と名護市では、詰め寄る市民と当局が押し問答する場面も。一方、移設推進派は、淡々と受け止めた。地元・名護市や作業ヤードの設置場所の候補として挙がった自治体は、事務的で冷静な対応。普天間飛行場移設問題の新たな岐路となるこの日、張り詰めた緊迫感の中で、関係者はさまざまな表情を見せた。

 「まったくでたらめ。事業者失格だ」。名護市役所で縦覧された方法書を一読した宮城康博市民アセスなご事務局長は、内容の不備を指摘し強く批判した。「記載は埋め立てについてだけ。ターミナルビルや管制塔、駐機場、環境に大きな影響を与える洗浄液の廃水、軍事部分の弾薬庫、弾薬の装てん場などの機能、施設の記載が一切ない。環境影響要因が示されず、これでは方法書の名に値しない。差し戻して新たに縦覧すべきだ」と切り捨てた。

 市民アセスなごの森山憲一代表は「位置選定の理由、15年問題に言及がない。使用機種をヘリに限定し、想定されるFA18、KC135などの軍用機に触れていない」と問題点を列挙し、「精読して意見を突きつけたい」と語った。

 名護市役所では、方法書6冊を並べたが足りず、市民団体がコピーを要求。名護市側は「那覇防衛施設局からは場所提供の要請だけ。コピーは施設局が対応する」と拒み、市民団体は「広く公開するためコピーを認めるべきだ」と重ねて求め、問答が続いた。

 那覇市の那覇防衛施設局では、沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団の真喜志好一さんと土田武信さんが閲覧した。「事業の必要性の論議が明記されていない」と方法書の内容をめぐって、真喜志さんらが施設局職員に詰め寄り、一時もめる場面もあった。

 真喜志さんは「作業ヤードとして辺野古、大浦湾、泡瀬が示されているが、水深が記述されているのは、大浦だけ。水深がないとヤードとして意味をなさない。400ページの方法書の中で3分の1が泡瀬のこと。ダミーとして、見せかけのための操作だ」と批判した。

 土田さんは「説明責任を果たすべきだ」と方法書の貸し出しを求めたが、施設局職員は拒否した。

 移設を推進してきた辺野古活性化促進協議会の島袋勝雄会長は「政府、県、市が推進し、地域も容認している事業だ。ボーリング調査や今回の縦覧など、工事の前提となるいろいろな問題については、国の方針でやることで粛々と受け止めている。1日も早い着工に向け作業を進めてほしい」と冷静に受け止めた。

◇名護市/議論し意見表明/基地対策委で方法検討

 環境影響評価方法書が公告縦覧されたことについて28日、名護市の末松文信助役は「中身を十分検討し、名護市の意見をまとめたい」と、サンゴや海草藻場など環境への影響を把握できる内容になっているかを注視する意向を示した。方法書への意見をまとめる手段に関し「市基地対策委員会を設置しているので、そこの専門部会で話し合いたい」と述べた。

 市基地対策委員会には環境影響部会や使用協定部会が設置されており、方法書の内容をその専門部会で検討し、市の意見をまとめることになる。

◇市町村/「設置に適当か」市民に判断仰ぐ

 公告縦覧は、代替施設建設に伴う陸上作業ヤード設置が検討されている中城湾港新港地区を抱える具志川市、沖縄市、勝連町、与那城町でも始まった。

 自由貿易地域(FTZ)を含む同地区約400ヘクタールのうち、161ヘクタール(FTZ約14ヘクタール)を抱える具志川市の知念恒男市長は、「情報公開は必要で、多くの市民が設置に適当な場所かどうかを判断してほしい」とする一方、作業ヤード設置について「新港地区は本来企業誘致を前提として埋め立てた土地で、FTZも製造業を中心に、地域経済活性化が期待される場所。従来の目的が達成されるべきだ」と話した。

 新港地区に124ヘクタールを持つ沖縄市の上原秀雄企画部長は「ヤードを設置する可能性があるということで、縦覧場所を提供している。設置場所はまだ確定ではないし、市が直接にかかわる立場にないため、手続きを淡々と進める」。

 勝連町の蔵当真徳町長は「詳しいことはよく分からないが、県の用地なので、県がよしとするならば仕方がないのではないか」と話した。

◇識者談話/米軍の使用方法不明で不十分

 数多くのアセス手続きを分析している環境アセスメント学会の島津康男会長(名古屋大学名誉教授)は、「騒音が最重要項目である空港の場合、航空機の種別や回数、離着陸ルートが記載されるべきだ。これら米軍の使用方法が分からない点だけでも、今回の方法書は不十分だ」と方法書の内容を疑問視。その上で、「不確定要素を準備書に任せるのでは方法書の意味がない。不合格だ」と厳しく批判した。

 世界自然保護基金ジャパン(WWFJ)の花輪伸一・自然保護室主任は「縦覧場所は沖縄県内の8カ所だけだが、日本全体の大きな問題であり、東京、大阪、名古屋などの大都市でも縦覧すべきだ。また、施設局はホームページにも公開し、CD―ROMの実費配布など公開する姿勢を示してほしい。地域住民から説明会開催の要請があれば、最優先で開催すべきだ」と指摘した。

◇住民ら70人が座り込み

 【名護】名護市辺野古漁港では28日、ボーリング調査を阻止しようと市民団体、住民ら約70人が午前7時ごろから10日目の座り込みを始めた。環境影響評価方法書の公告縦覧が同日から始まる中、「現場の闘いもしっかりやっていこう」と決意を新たにしていた。

 基地の県内移設に反対する県民会議の山内徳信共同代表は「基地は将来の世代の生活を破壊する以外の何物でもない。意見を言う機会のなかった人たちも、そういう思いを公告縦覧を通し、意見を出してほしい。ここに座り込む闘争に加え、アセスメントにどんどん意見を出していくことも運動の1つだ」と意見を多く出すことの重要性を訴えた。

 命を守る会の金城祐治代表は「座り込みに参加しているメンバーたちと、方法書のコピーを読みながら意見を出し合っていきたい」と話した。

 漁港にはこれまで連日、那覇防衛施設局職員が作業実施を通告に来ていたが、この日は正午現在、職員は姿を見せていない。座り込みメンバーたちは、施設局職員が来て作業を始めようとした場合を想定し阻止の訓練もしていた。

◇解説/説明責任果たさず/政府の焦り浮き彫り

 普天間飛行場代替施設建設の方法書を見ると、騒音の影響などを予測する上で必要な米軍航空機の使用機種が具体的に示されず、飛行場の使用形態を知る上で必要な米軍の運用所要や施設配置も記されてない。

 施設局は使用機種を現飛行場で運用されているCH53、CH46、UH1、AH1の各ヘリを想定していると説明するが、方法書には「回転翼機」とだけ記している。法的には機種までの明記は求められていないが、具体的に記述できる事項も漠然とした表現に置き換えており、説明責任を果たしているとは言い難い。

 米軍施設の配置は、本年度中に米側から日本側に「フォーム22」と題した、個々の施設の規模、構造、用途などが示された設計概要書が渡される。作業ヤードについても今後の検討でいずれは位置が確定することになる。米軍の運用所要も施設局は要求していくと説明しており、設計概要書と運用所要を入手し、作業ヤードを確定した段階で方法書を完成させれば、具体的な内容を記すことができたはずだ。

 未確定部分が多い中で方法書を出した施設局の対応を見ると、事業主体問題などで当初予定より遅れた提出時期をこれ以上先延ばししたくないとの焦りだけが浮き上がる。

 15年使用期限などが置き去りにされたまま、移設作業だけが進むとの印象だけが強まり、反発の強まりも予想される。

(政経部・松永勝利)

<2004年4月28日 夕刊 4・5面>

「何を調査」「詳細ない」/環境アセス公告縦覧
辺野古の必然性に疑問の声

 普天間飛行場代替施設の環境影響評価(アセスメント)の方法書が公表された二十八日、公告縦覧の会場となった名護市役所や那覇防衛施設局には午前九時ごろから、名護市辺野古住民や市民団体メンバーが訪れた。住民らは四百ページ余の方法書から調査項目や方法などをチェック。「なぜ、辺野古に建設するのか説明がない」と抗議した。複写を求め、防衛施設局の職員に詰め寄る場面も。アセスやジュゴン研究の専門家は「着工ありきの方法書。何を調べるのか分からない」と批判した。

 名護市役所では、縦覧が始まると同時に、辺野古漁港でボーリング調査の阻止行動を展開する平和団体メンバーら八人が訪れた。しかし、市役所内でのコピーが認められず、閲覧者は「目の前の海を埋め立てるのに、那覇防衛施設局まで行って許可を取れというのか」などと抗議した。

 市民アセスなごの宮城康博事務局長は「飛行場から出る汚水や排水がどうなるのか明記されていない。民間部門の需要予測も希望的観測のみだ」として、評価できるレベルではないと憤慨。「方法書は出し直すべきだ」と指摘した。森山憲一代表も「埋め立て土砂や飛行機種など詳細がない。なぜ辺野古沖に必要なのか説明されていない」と批判した。

 沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団の東恩納琢磨団長は「四百ページもの方法書をここで見ろというのか。そんな市民サービスがあるか。旧アセスでも白保でもコピーは認められている」と怒り心頭だった。

 辺野古区の大城康昌区長は「(方法書を)見ていないので何とも言えない」としながらも、「防波堤の波しぶきによる塩害、貝やタコが著しく減らないかなど、区民生活にかかわる部分に関心がある。国はちゃんと調べてほしい」と話した。

 名護市の末松文信助役は「方法書の内容は詳しく見ていない。これから内容を検討し、市の意見をまとめて(国側に)提示したい。これまで市が申し上げてきた通り、自然環境に配慮するよう求めたい」と述べるにとどまった。

 那覇防衛施設局には、ジュゴン環境アセスメント監視団の土田武信さんと真喜志好一さんが訪れた。複写や貸し出しを要求したが、広報担当者が「閲覧が原則。情報公開手続きをとってほしい」としたため、言い争う場面もあった。

 真喜志さんは、事業目的に一九九七年に行われた基地建設の是非を問う名護市住民投票の結果などが明示されていないことに触れ、「あきれた。読むに値しない方法書だ」と批判した。

     ◇     ◇     ◇     

「着工ありきの印象」専門家

 方法書が示すジュゴン調査について、粕谷俊雄・帝京科学大学教授(水生哺乳類学)は「何を証明するのか、目標が示されておらず『着工ありき』の印象を受ける。科学的な環境アセスメントに足るだけのデータを集められるか疑問。後でつじつま合わせが可能な内容だ」と批判した。

 調査手法についても「ヘリコプターでの追跡調査は、ジュゴンに多大なストレスを与えるため、沖縄の小さな個体群には避けるべきだ。調査自体が被害を生む恐れがある」と指摘した。

情報公開は当然
具志川市長

 公告縦覧の開始について具志川市の知念恒男市長は「県民や住民に情報公開をすることは当然のことだ」と述べた。

 一方で、中城湾港が埋め立てのための陸上作業所の候補地となっていることには「工業用地として開発を進めている地区であり、本来の目的とはそぐわないのではないか」と話し、民間企業誘致への影響を懸念した。

[解説]
最重要部分は「先送り」/問われる移設大義
国に一層の説明責任

 那覇防衛施設局は普天間飛行場代替施設の環境影響評価(アセスメント)手続きに入ったものの、作業ヤードの位置や代替施設の使用機種、飛行ルートなど米軍機の運用面にかかわる最も重要な部分は「先送り」した。国の天然記念物ジュゴンをはじめとする海洋生物の保護など、課題は山積している。

 施設局は最も騒音が大きいFA18ホーネットなど同飛行場所属機以外がアセスに含まれるのかどうかは明らかにしておらず、次期主力機オスプレイは「具体的な配備計画は現時点でない」と予定していない。

 また、航空機の洗浄施設や燃料貯蔵庫などの施設建設についても、米軍の運用所用など「今後、米軍から必要な資料の提供を受け、準備書の段階で明らかにしたい」としている。

 施設局は「方法書の段階ではそこまで必要はなく法的義務もない」との立場だが、アセス対象がはっきりしないままの現地調査では有用性が問われる。約一年半後とされる準備書作成までに、全体像をどこまで明らかにできるのか不透明だ。

 民間空港部分についても、使用機種は明記されず、需要予測も既存の県の資料を引用、考察は深まっていない。

 一方、計画が具体化すれば、六千億円とも一兆円ともいわれる総建設費の「公共施設」としてのコスト論議も高まろう。

 県内移設を前提に辺野古移設を最大の公約に掲げる稲嶺県政だが、「十五年問題より環境問題が一番の大きな壁」(県幹部)というのが本音。環境保護より「建設ありき」の政策的判断を優先した意見を述べれば激しい反発を招くのは必至だ。

 代替施設建設は一九九九年の環境影響評価法施行以降、防衛施設庁が行う初めての環境アセス事業となる。同法では環境保全対策の検討状況など、準備書の記述が厳格化されたのをはじめ、意見書は地域住民だけでなく、国籍を問わず、提出できるようになった。

 ジュゴンなどが生息する同海域でのアセスは、世界的にも高い関心が寄せられている。

 日米安保体制のとげである「普天間」の返還・移設問題で、政治的、行政手続きは名護市など地元自治体を当事者として進められてきた。

 だが、日米合同の「ジュゴン訴訟」など、人類の財産としての環境保護を求める動きは世界的な広がりを見せている。環境に著しい影響を与えるおそれがある移設先の環境保全について、国はアセスの透明性と説明責任を果たす責任が一層求められている。それが損なわれれば、移設の大義自体が失われるのは明らかだ。(政経部・知念清張)

方法書の概要

 【事業者】那覇防衛施設局【事業目的】軍民共用飛行場を整備し、普天間飛行場の移設・返還を進めるとともに、沖縄北部地域の振興等を図る【事業内容】飛行場とその施設の設置、公有水面の埋め立て【事業実施区域の位置】名護市辺野古沿岸域と中城湾港新港地区【環境影響評価項目】生活環境(大気質、騒音、振動、低周波音、水質、塩害など)、自然環境(ジュゴン・海草藻場・サンゴなどの動植物、生態系、地形・地質、景観など)


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